農業の観光化

CHITA FRUIT VILLAGE

農業の観光化における課題

※この資料は以前に観光農園やりたい方が視察に来られた際に作成したメモです。

農業の観光化にあたって(2020作成、2025修正)

 観光資源(観光の可能性になるモノコト素材)⇒観光対象(人が魅力を感じ、観光の目的となるモノコト)
すなわち「観光資源」を人がお金や知恵、手を加え開発、整備しないと「観光の対象」となりにくい。
農業そのものは観光資源ではあっても、それだけで観光商品になるわけではない。(羽田耕治:2011)
「何を見るか・何をするか」だけでなく、「なぜそこまで行くのか」「誰とどんな時間を過ごすのか」「また来たい理由があるか」まで設計して、初めて持続的な観光事業になる

 

*農業を観光化する課題

①農業(畑)は山奥なのでインフラが整っていない場合が多い。
・光回線、Wi-Fi ⇒フリーWi-Fi、光はSNSや動画コンテンツ配信等、観光客相手には必須。
・電気、上水道、下水排水(トイレ)が来てない場合が多い。
  ⇒上水、排水、電気来てないと、飲食店営業許可が取れない。綺麗な水洗トイレは今の時代当たり前。
・交通の便が悪い(電車が無い、道がめちゃ狭いしガタガタ、遠い)
・バリアフリー難しい。

 

②法律&行政上の問題(農地等地目、市街化調整区域といった区域区分) 
⇒農振地域内の「農地」は基本的に農地転用できないので、駐車場が欲しくても作れない。
・また農地のままでは建設許可が当然下りず、建物も立たない。
 (一部6次産業化例外もあるが、地域の農委員会によっては直売小屋すらNG)
・山奥なので下水は無いし、排水の流出経路が確保できないと浄化槽も埋められない。
・既存施設(倉庫、小屋)の改修では、思ったより建築確認申請や消防設備関係が大変
・法律行政(食品衛生、建築&用途変更、排水、農地法、都市計画法、消防)を横断して確認、折衝する能力もしくは委託先

 

③立地
・マーケット(周辺に人が沢山いる都会が無いとせっかくオープンしても集客しにくい。高所得=高単価化可能)
集客(その施設が面白い事と、人がちゃんと集まるかは別問題、宣伝広告のスキルや投資が必要)
他に立ち寄るところや目的地が有る(ディズニーみたいに1日遊べれば良いがそうでない場合は、自分とこ以外に他に遊びに行ける行き先が近くに有るかどうか)または目的地に行く道中であれば良し。
・交通手段(再掲)=マーケットからの時間距離とコンテンツレベル
ICからの距離も大切。オンシーズンの渋滞であったり、狭い道は心理的ハードル上がる
・大型バスが通れるか、入れるか(個人客のみターゲットのうちでもちょいちょい入る)

 

④能力
・これまで農作業しかやったことがない人がいきなり観光業が出来る能力が有るかどうか?
⇒野菜作りしてるときは良かったかもだが、観光始めるとライバルがいきなり有名観光施設となる
・接客、クレーム対応、予約管理、顧客管理、価格設定、販促、イベント企画、安全管理などが必要になる。
 ⇒「良い農産物を作れる」ことと「お客様に良い時間を提供できる」ことは一致しない
 ⇒それをスタッフ展開できるマネジメント能力(マニュアル化、スタッフ教育、権限移譲)
・資金面(個人が多く大きなお金を動かせない)
・お客さんが楽しいと思うようなコンテンツ化できるかどうか。後発で有れば他との差別化要因の構築。
・広報力、宣伝力

 

⑤収益性
・客単価と滞在時間のアッパー:「収穫体験+直売」だけでは客単価が頭打ちになりやすい
・飲食、ギフト、ワークショップ、プレミアム枠等の設計
・スタッフ1人あたりでいくら粗利を生むかという人時生産性(客が増えるほど受付、案内、清掃、駐車場整理、問い合わせ対応等の人件費も増える)⇒予約枠、定員、滞在時間、回転率を設計しないと、お客来てるのに利益が残らない
・オフシーズン、閑散期の収益化
・ノーショー対策とその理解

 

⑥来場者数の最大化が成功とは限らない
・受け入れ人数を増やすほど間接費がものすごい速度で増加
・農産物には生産量の上限がある。来場者を増やせば「収穫するものがない」「良いものから先になくなる」といった問題も
・混雑で待ち時間が増えたり、農家やスタッフとの会話が減ったりすれば、一人ひとりの体験価値は下がる。
⇒大切なのは「誰に来てもらい、いくら使ってもらい、どの程度満足し、再び関係を持ってもらえたか」
 =客単価 × 粗利率 × 来場頻度 × 継続年数
・「たくさん集める」から「関係を深くする」への思考の転換が要る。
・良いお客の定義と最適客数の設計=限られた農地・農産物・人員から生まれる価値の最大化

 

⑦天候
・天候、気候に左右されやすい。⇒畑なので雨降るとグチャグチャになり中止せざるえない。
・不作や、洪水、台風で収穫体験用の作物が吹き飛ぶことも。
雨天時の対策や代替の行き先の確保が必要。(特に団体旅行)
・近年の猛暑リスク。作物の不作もだが、日陰、休憩場所、給水、ミスト、冷房ほかの対策

 

⑧そのた
・農薬散布・栽培管理と受け入れのバッティング
・病害虫の持ち込みリスク
・日々の農作業に加えて観光客の対応を誰が担うのかというマンパワーの問題。
・SNS・Googleマップ等の口コミリスク(農業以外も共通)
・メディアやSNSで魅力的に見せすぎると、ギャップが低評価につながるため「期待値管理」必須
・農体験中の事故・怪我と保険(施設賠償責任保険など)の加入。食中毒リスク。
・「騒音、ゴミ、勝手に畑に入る、渋滞や駐車トラブル」が、地域住民との摩擦⇒利益の地域還元方法を考えておく必要

 

*知多半島観光(農業面以外も含めた)の課題を超える為に

・目的化する(近いから、安いからだけではなく「行きたい、そこで○○したい、食べたい、見たい」)
⇒「過ごす時間」を商品化:誰と・何をして・どんな時間を過ごすのかの設計
・「子供の為」だけでなく大人がワクワクする(ストーリー性、知的、体感的、食、会話、景観、食、季節性・・・)
・「体験そのもので儲ける」のか、「体験を入口として農産物を売る」のかでは設計が全く異なる。
・北海道とかと違って「毎年来れる地域からこそ」の提案が出来るかどうか。⇒常に変化していく(去年と一緒じゃつまんないし、それでは来年は来ないよね)
・リピーターをファン・コミュニティ化する仕組み(来園して終わりでなく、継続的な関係人口の増加の設計)
・知多半島エリアでの連携、産業の観光化。(知多は日帰り周遊観光圏ゆえ弊社だけで頑張ってもダメ)
 相互送客や共通チケットクーポン、モデルルートの設計(午前:農園体験 → 昼:地元食 → 午後:海・温泉・他施設)
弱い施設 + 弱い施設+弱い施設=弱い観光地。だが
⇒ 目的地A+目的地B+食+景観+温泉=強い観光地。になりえる。
・半島そのものの目的化:知多半島観光圏協議会等

 

【参考】目的の例

・景色景観、自然、動植物、癒し、休息(温泉)、美容
・エンターテインメント、レジャー、スポーツ(観戦、スノボ、登山、サイクル…)
・産業観光、施設見学、博覧会、アクティビティ
・歴史(寺社)、知識、芸術、文化、音楽、お祭り
・食
・アニメ、ロケ地
・時間・体験の共有共感で仲良くなる、思い出作り(内面的なモノ):